ブックメーカーとは、一言で言うとヨーロッパなどの海外に拠点をおく政府公認の賭けの胴元のことです。
主にスポーツ競技の勝敗などを予想して、お客に対してオッズ(掛率)を提示し、お客の投票(ベット)を募って、その結果によって勝者(予想を的中させた人)に掛け率に応じて配当するものです。
こちらのページでは
について解説していきます。
ブックメーカーの歴史
ブックメーカーの誕生は1790年代のイギリスの競馬場です。
ハリー・オグデンという人が、レースに出走する馬にオッズをつけ、順位の予想が当たると賭け金に応じた配当金を払い戻すという賭けを行ったことが始まりとされています。
賭けに関する台帳(ブック)をつける賭け屋はブックメーカー(台帳をつける人)、ブッキーと呼ばれ、これが現在の呼び名の由来になっています。
市民の間で広まるブックメーカー

この賭けのシステムは、競馬場に集まった人たちに好評で賭けの参加はどんどん増えていきました。
それに比例して業者の数も増え続け、約50年後には賭けを提供する業者の数は200を超えていたという記録が残っています。
元来競馬場は貴族や上流階級の社交場であったため、このような状況に対して抵抗や反対意見も多く、1845年にはイギリス議会で競馬を対象としたギャンブルを禁止する法律が成立します。
しかし、1度このようなギャンブルの面白さを知った人々を止めることはできず、ブックメーカーの数は増え続け違法行為が後を絶つことはありませんでした。
そのような状況の中、紆余曲折を経て1960年にブックメーカーはイギリス政府公認とされ、政府機関からのライセンスを取得すれば合法的に運営できる免許制へと移行したのです。
店舗型ブックメーカーの台頭

それから時を経て、1960年には、ブックメーカーがイギリス政府の公認で正式な営業を許可されるようになりました。
ブックメーカーが政府公認となったことで、賭けの対象は競馬のみならず、あらゆるプロスポーツや大学スポーツに広がり現在へとつながっています。
欧米、なかでもイギリスではスポーツベッティングは広く一般的に浸透しており、1990年代から2000年代には街中のいたるところにブックメーカーの店舗があふれました。

応援しているチームの勝利にお金を賭けたり、パブでお酒を飲みながらみんなで試合の予想を楽しんでいる姿が印象的です。
サッカー、テニス、バスケ、野球、陸上競技など、あらゆるスポーツが賭けの対象になっているため、これらスポーツ競技に賭けることを総称してスポーツベッティングと呼ばれるようになりました。

オンラインブックメーカーの登場

1990年代後半インターネットの登場により、ブックメーカーもオンラインに以降し始めます。英国大手ウィリアムヒルは1997年にいち早くオンライン化を実現しましたし、bet365も2000年代から急速に成長しました。
多くのブックメーカーは元々は実店舗を構えて運営していましたが、スマホが普及し始めた2010年代から徐々に実店舗が現象し始めます。
いつでもどこでもオンラインでベッティングができるため、わざわざ店舗に出向いて投票券を買う必要性がなくなったのです。
英国に1,500ベッティング店舗を構える老舗ブックメーカーのウィリアムヒルは、新型コロナウイルスの影響で、ロックダウン(都市封鎖)で営業停止していたベッティング店舗のうち、119店舗をそのまま閉店することを発表しました。
ブックメーカーの特長やメリットについて
日本では、競馬・競輪・競艇サッカー・宝くじなどのギャンブルは、すべて国が管理しており、公営ギャンブルと言われています。それに対して、ブックメーカーは民間の企業が運営しています。そのため公営ギャンブルでは実現できない様々なメリットが多いのです。
- 高い還元率
- 様々なスポーツに賭けることができる
- 賭ける項目が多種多様
- 試合中でも賭けることができる
- スポーツ投資として期待できる
還元率が高い
ブックメーカーと日本の公営ギャンブルの大きな違いは、その還元率です。
ブックメーカーの還元率は会社によって変わりますが、概ね93%から98%の間で推移しています。
ギャンブル | 還元率(約) |
パチンコ | 80~85% |
競馬、競輪、競艇、オートレース | 75~80% |
宝くじ | 46% |
サッカーくじ | 50% |
ブックメーカー | 93~98% |
ブックメーカーの圧倒的な還元率と、日本のギャンブルがいかに胴元に有利にできているかが分かりますね。
公営ギャンブルの還元率が75%ということは、1万円賭けると返ってくる割合が7500円。
宝くじにいたっては、配当金が半分にも満たないということなの。
つまり、1万円分の宝くじを100人が買ったとしたら、54万円を引いた46万円を購入者に割り当てるということになるの。

日本の公営ギャンブルとブックメーカーの大きな違いに、賭け方式の違いがあります。
海外のブックメーカーは「ブックメーカー方式」といい、日本の場合、「パリミチュアル方式」を取っています。
わかりずらいと思うから、例として、競馬レースでパリミチュアル(日本)方式とブックメーカー方式(海外)で賭けた場合の違いを挙げてみるね。
まず、オッズが2倍の馬が勝ちそうだなと思い、馬券を購入したとします。
その後、その馬がどんどん人気になり、オッズが1.3倍まで下がってしまいました。
パリミチュアル方式だと、最終的なオッズは1.3倍となり、せっかくあなたが2倍で購入したのに、的中としても1.3倍の配当しかもらえません。


様々なスポーツや事象が賭けの対象である
主要ブックメーカーで賭けられる代表的なスポーツをまとめました。
サッカー、テニス、野球、バスケットボール、アメフト、自転車競技、ドッグレース、ビリヤード、卓球、水球、ローンボウルズ、ダーツ、ハンドボール、自転車レース、ラグビー、eスポーツ、ボクシング、ハーリング、オートバイ競技、クリケット、ゴルフ、総合格闘技、アイスホッケー、スヌーカー、バレーボール、相撲、自動車レース、オージーラグビー、フットサル、ゲーリックフットボール、グレイハウンド、陸上競技、ウインタースポーツ |
イギリス以外の国で行われているスポーツも賭けの対象になっており、日本の国技である相撲にも賭けられます。
もちろん、日本のスポーツも賭けの対象になっています。
最近は、海外で活躍する日本人選手が増えましたが、欧州サッカーリーグ、大谷選手や田中選手が所属しているMLB、錦織選手や大坂なおみ選手が出場するテニスなど、メジャーなものからマイナーなものまで、ほぼ全てが網羅されています。


賭けの対象はスポーツ以外の分野にも及びます。
政治 | アメリカ大統領選挙、イギリス総選挙、次期ロンドン市長選挙当選者、次期保守党(労働党)党首、次にEUを離脱する国、フランス大統領当選者、総選挙(スコットランド、アイルランド、ウェールズ、オーストラリア)、その他イギリスや世界の政治全般 |
芸能など | グラミー賞受賞者、ノーベル賞受賞者、アカデミー賞受賞者、ミスユニバース受賞者、芸能ゴシップ(ユベントス元監督の娘のデートの相手など)、TV番組の結果、世界の天気(イギリスの空港でクリスマスに雪が降るか?など)、宝くじ(Lotto) |
まさに何でもありといった感じですね。
■米国アカデミー賞


芸能や天気などユニークな賭けはスポーツベッティングに興味がない人でも楽しめるのが特徴です。
■政治


一番低いオッズは、イタリアの3.0倍でした。
■天気

なんと、アジア・欧州・アフリカ・アメリカなど世界の主要空港の天気を当てる、という賭けです。
成田空港の気温という賭け項目もありました。
スポーツ以外にも、実に様々な賭けがあることがお分かりいただけたかと思います。
賭け項目が多い
ブックメーカーでは、勝敗だけでなく、その試合に関する様々な結果について予想する楽しみがあります。
こちらは、楽天totoの種類です。

賭け項目は、指定された試合の勝敗、指定された3試合の90分間の得点数だけです。
しかも、複数の試合を当てなければならず、自分が予想に自信のある試合だけを選ぶことはできません。

勝敗の他に、得点数、ハンデキャップ、スコア、得点する選手、コーナーキックの本数、前半・後半戦のみの結果、カードが出される枚数など、多彩な賭け項目が用意されています。

試合を見ながら賭けられるライブベットがある
ブックメーカーならではの醍醐味に、ライブベット(ライブベッティング)があります。
こちらは、テニスの試合のライブ画面です。

赤枠で囲った部分が、スタッツです。
サービスエース、ブレークポイント、獲得合計ポイントなどのデータが表示されますので、それを元に予想します。
たとえば、
- 格上の選手が1セット取られてるけど、相手はダブルフォルトが多いし、逆転しそうだ。
- 一方的な展開だから、勝ちは確定だろう。
オッズは小さいけど、大きめの金額を入れて確実に勝とう。
など、ライブベットではプレイヤーによって違った戦略、ベット方法が可能になるのです。

また大手ブックメーカーの中には、ライブストリーミングを視聴できるサイトもあります。

バルセロナやレアルマドリード、バイエルン・ミュンヘンなど、欧州サッカーの試合も視聴できますから、それを目的にブックメーカーを利用するのもいいですね。
副業として注目されている
数あるギャンブルの中でも、ブックメーカーは「スキル次第で安定して勝ち続けることが可能なギャンブル」と言われています。
実際、海外にはブックメーカーをFXや株、先物取引のような投資と捉えて、専業にしている人もたくさんいます。
もちろん、適当に勘で賭けているだけでは、生計を立てることはできません。
ブックメーカーを仕事にしている人は、データサイトを駆使したり、仲間と情報交換しながら日々努力を重ねています。

ブックメーカーの安全性について
ブックメーカーは海外の企業が運営していますが、安心して遊ぶことができるのでしょうか?安全性はどのように保証しているのかについて解説します。

ブックメーカーのライセンスを取得している企業
オンラインブックメーカーの中には、プレイヤーから多額の賭け金を集めたまま消えてしまったり、理由を付けて出金拒否を続けるといった悪徳業者がいたりします。
そのため現在は、ブックメーカーを合法的に運営するためには、国が関与するオンラインギャンブル審査機関のライセンスを取得が義務づけられているのです。

ライセンスの中で、特に信頼できるものを以下にまとめました。
- ジブラルタル政府のライセンス
- MGA(マルタ共和国)
- キュラソーライセンス
ブックメーカーの審査・監査機関とは?
ブックメーカーは、第三者機関や会計の会社から、オッズやベットに関する監査を受けて、不正行為が行われていないかを証明する必要があります。
定期的な監査は、ブックメーカーの安全性を証明するものなので、外部審査機関からの監査を受けているブックメーカーを選ぶことが大切です。
よく使われている外部審査機関の例
- マン島ギャンブル監視委員会
- 英国ギャンブリング・コミッショナー
- eCOGRA

ブックメーカーの運営会社は超一流企業
違法性のところで説明しましたが、欧米ではブックメーカーは社会的に認知された存在であり、各スポーツの発展に大きく寄与しています。
業界最大手のウィリアムヒルという会社は、ロンドン証券取引所に上場しており、15,000人以上の従業員を抱える、世界的な一流企業です。
過去には、サッカースペインリーグの強豪、リーガ・エスパニョーラのチームスポンサーを務めたこともあります。
また、「世界最古のカップ戦」と言われるイングラドFAカップの公式スポンサーとしても、有名です。
その他、当サイトで紹介しているbet365という会社のように、ブックメーカーがサッカーチームのスポンサーになったという話はいくらでもあります。

サッカー以外ですと、188betという大手ブックメーカーが、2019年のバドミントン世界選手権の公式スポンサーになっていますし、テニスのATP・WTPツアーの冠スポンサーになっている会社もあります。
信頼のおけるプラットフォームを採用
プラットフォームとはオッズを決める機関(会社)のことです。プラットフォーム会社はブックメーカーにスポーツのオッズを決めるソフトウェアを提供しているのです。
ブックメーカーのオッズの決め方はブックメーカーによって異なります。
- 独自採用しているブックメーカー
- プラットフォームを利用しているブックメーカー
それぞれ違います。
bet365やウィリアムヒルといった大手ブックメーカーは独自でオッズを発表しているけど、10betやNETBET、カジ旅などはソフトウェア会社から提供されたオッズで運営しているのです。

ブックメーカーの違法性について
続いて、「ブックメーカーに賭けるのは、違法じゃないの?」という疑問にお答えします。
単刀直入にいうと、
日本国内で公営ギャンブル以外のスポーツに賭けることは違法だが、海外のギャンブルに賭けることを規制する法律はない。
が結論です。
つまり、日本の法整備が遅れいるため、日本人がブックメーカーを利用することは黒でも白でもないグレー状態になっています。
ただし、イギリスやヨーロッパで合法的に運営されているブックメーカーの利用を日本人に規制することは、実質的に不可能といわれています。
なぜなら、ブックメーカーの中には株式上場している会社もあり、立派な一流企業ですから、規制などすれば貿易摩擦などの国際問題に発展しかねません。
また現在まで、ブックメーカーを利用して逮捕、起訴された日本人は一人もいませんから、現段階では、グレーゾーンだけれどもブックメーカーの利用に関する違法性を心配する必要はないといえるでしょう。

ブックメーカーの始め方
ブックメーカージャパンでは、ブックメーカーの始め方・やり方の全手順をわかりやすく紹介しています。数あるブックメーカーサイトからどこを選べばよいのか?選ぶべきポイントなども紹介しています。

ブックメーカーのまとめ
ここまで、ブックメーカーについての基本的な説明、日本の公営ギャンブルとの違い、違法性などについて説明してきました。