オンライン化が進んだことで、海外のブックメーカーが手軽に日本でプレイできるようになりました。宝くじと一緒で思わぬ利益をブックメーカーで手に入れたプレイヤーもいます。さて、ブックメーカーで得た勝利金は税金の対象となるのでしょうか?
ブックメーカーの収益は税金の対象となる
日本の所得税法では、公営ギャンブル以外のブックメーカーやオンラインカジノといったオンラインギャンブルで得た収入は「一時所得」もしくは「雑所得」であるとされており、税金の対象となり確定申告が必要です。
公営ギャンブルの場合ですと例えば、競馬・競輪・競艇・オートレースなどの払い戻し金にも、この規則が適用されます。
また、日本の永住者の場合は「全世界所得課税」といって、国内外で得たすべての所得に対して課税されますので、オンラインカジノや海外カジノで得た利益も、やはり一時所得として課税対象の対象となるのです。
そのため、その年の1月1日から12月31日までの1年間で得た利益に対して、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をすることになります。申告を怠った場合は、延滞税や無申告加算税などの対象になる可能性もあるので、気を付けてくださいね。
ちなみに、株式投資で利益が出た場合も(NISA口座を除いて)課税されます。
ブックメーカーの利益は一時所得?雑所得?それとも事業所得?
ギャンブルで得た利益は、次の3つの所得に分類されます。
- 一時所得
- 雑所得
- 事業所得
ブックメーカーのプレイヤーが得ている払戻金は「一時所得」としてみなされるケースが多いです。その理由を国税庁のHPをもとに税法について解説します。
一時所得とは?
営利目的で得た、臨時収入のことを「一時所得」といいます。懸賞や福引の景品や競馬の払戻金などから、生命保険の一時金なども含みます。
一時所得とは
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。 この所得には、次のようなものがあります。
(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2) 競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
(3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等国税庁のホームページより引用
経費として認められる範囲が狭く、直接的に負担したものしか経費として認められません。
雑所得とは?
継続的な小規模の副収入や、仮想通貨の利益といった、分類できない所得のことをひとまとめに「雑所得」といいます。
雑所得とは
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
国税庁のホームページより引用
経費として認められる範囲は一時所得よりも広いです。いわゆる副業扱いとみなせれば雑所得として認められます。
事業所得とは?
ギャンブルで生計を立てている場合は、事業所得という区分に入ります。
事業所得とは
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。国税庁のホームページより引用
数年単位でギャンブルで継続的に生計を立てることは非常に難しいですし、税務署から事業として認めてもらえる可能性が低いので、事業所得として申告することは難しいでしょう。
そのため、ブックメーカーで得た利益は、「雑所得」か「一時所得」に分類されるケースがほとんどです。
ブックメーカーの利益が「一時所得」として判断されるケース
ブックメーカーを趣味の範囲で遊んでいると判断された場合、利益は一時所得の扱いとなります。そのため、ブックメーカーで利益が出た場合は、まずは一時所得として考えてよいでしょう。
一時所得のメリットとデメリット
一時所得のメリットとしては、50万円まで控除の対象ということ。デメリットとしては、経費として認められる範囲が非常に狭いということです。不的中のベットは経費としてカウントされません。
一時所得にかかる税額の計算方法
それでは、税金はどのくらい取られるのでしょうか?
日本の所得税法では、一時所得には最高50万円の特別控除があり、年間利益の50万円を超える部分にだけ税金がかかることになっています。
したがって、例えば1年間で元本20万円が50万円に増えたとすると、利益は30万円、つまり50万円以下になるので、税金はかからず、申告不要となります。
しかし、元本20万円が100万円まで増えた場合は、利益が80万円、つまり50万円を超えるので、確定申告して税金を納めなければなりません。
その際には、課税所得の金額を、以下のように求めます。
(利益-必要経費)-特別控除=一時所得の額
一時所得の額×1/2=課税所得
この課税所得に対し、所定の税率を乗じたものが、所得税額となります。具体的に数字を入れると、(100万円-20万円)-50万円=30万円が一時所得の額となり、30万円×1/2=15万円が課税所得となりますので、例えば税率が10%だった場合は15万円×10%=1.5万円の税金がかかるということですね。
ブックメーカーの利益が「雑所得」として判断されるケース
本業並みにブックメーカーで稼いでいる人、つまりブックメーカー投資として稼いでいるプレイヤーは「雑所得」に分類される場合があります。本業とは別にブックメーカー投資として年間に数百万ほど副業として稼いでいると判断された場合は、「雑所得」として認められます。
雑所得のメリットとデメリット
雑所得のメリットとしては、必要経費の幅が広がることです。オンラインでブックメーカーをする場合、パソコン代やモニター代、通信費など「投資」にかかる費用は経費として落とせます。ただし、ハズレのベットを経費として証明するためには、根拠となる資料が必要なので税理士さんに相談しましょう。
デメリットとしては雑所得が20万円を超えている超えていないに関わらず確定申告を行う必要があり手間がかかるという点です。
一時所得ではなく雑所得で申告すれば損失分も控除できますが、外れ馬券訴訟でもわかるとおり、ある程度の収入(少なくとも年間数百万円)や継続性などが問われるためハードルは高くなっています。
例えば、「専用ソフトを使って全ての一定のサッカーの試合にベットしている」、「外れたベットも利益を出すうえで、絶対に必要」といった、「ブックメーカー投資」である明確な証明が必要なのです。
「投資」としてベットしている証明ができないと、それは「一時所得」に該当してしまいますし、ここで解説した内容については、所得の種類や計算方法について別の見解を示す専門家もおり、さらには毎年様々な税制改正もあります。
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雑所得にかかる税額の計算方法
雑所得の計算式は単純で「収入金額」から「必要経費」を引いた額なります。必要経費も認められるか認められないかは、稼いだ金額や継続状況によって異なるため税理士さんとよく話し合ってから決めてください。
ブックメーカーの税金に関するよくある質問
日本の所得税法では、ブックメーカーは一時所得としてみなすのが一般的です。ここでは、一時所得として申請するうえで、よくある質問をまとめました。
海外発行のカードは、日本の税務署は把握できません。そのため、自己申告になります。ATMからお金を引き出してもわかりませんが、日本の銀行にお金が入ったら税務署も把握できます。50万円までは、控除できますがそれ以上利益が出た場合は、税理士に相談してしっかり申告をしましょう。
エコペイズの管理画面から、出金の履歴がみれますので、それをもとに申告しましょう。
投資として継続的に利益が上がっているのであれば、「雑所得」として認められることがあります。必要経費としては、パソコン代、インターネット通信費、本や電子書籍や情報商材といった「投資」に関する書籍などが考えられます。
経費として認められる可能性は高いですが、認めるか認めないかの最終判断は税務署がおこなうので、まずは事前に税理士さんに相談することをおすすめします。
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ハズレ馬券と同じで、経費として申告できる可能性は高いとも低いとも言えません。ハズレのベットは、あくまで「投資」として継続性認める手段でしかないので、博打要素があるベット(あからさまに高いオッズに賭けたり、高額ベットしたりすること)などは認めない可能性があります。ハズレ馬券裁判にもなったくらい、この判断はとてもデリケートな問題です。最終判断は税務署がおこなう、それに対して納得行かなければ裁判という流れになるので、まずは事前に税理士さんに相談することをおすすめします。なを、どうしても経費として認めてもらいたいのであれば、スクショやしっかりとした理由を準備しておくことが必要です。
ブックメーカーで50万円以上の利益が発生した場合は、一時所得として確定申告の義務があります。特に会社努めをしていて、所得がある人は年間20万円以上利益が出た場合は、確定申告の義務があります。確定申告の際に、住民税の納税方法を「普通徴収」にすることで、会社お給料とは別に納税することができますので、会社にバレることはありません。
扶養家族になっている人は年間38万円以上で確定申告をする必要があります。
ブックメーカーの税金に関してのまとめ
- ブックメーカーで得た収益は、「一時所得」「雑所得」「事業所得」に分類される
- 趣味としてブックメーカーで得た利益は「一時所得」としてみなされる場合が多い。一時所得の場合は「経費」は認められない。
- 投資としてブックメーカーで得た利益は「雑所得」としてみなされる可能性がある。「雑所得」の場合、経費として認められる。