各国で行われているクラシックレースの発祥の地として知られるイギリス。もともとは優れた繁殖牝馬、種牡馬の選定競走として制定されたクラシックですが、3歳馬しか出走できないということで権威あるタイトルとして各国に知れ渡りました。もちろん、競馬本国のイギリスでもそれは同様で、まもなく英ダービーが開催されます。
英ダービーの概要
タイトル | 英ダービー |
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格付 | G1 |
開催国(競馬場) | エプソム競馬場 |
性齢 | 3歳牡牝 |
コース | 約2,410m(芝) |
賞金 | 1着本賞金:637,987.50ポンド |
牡馬クラシック2冠目として知られ、すべての国のダービーの模範となっています。
英ダービーの歴史
そもそも英ダービーが始まったのは1780年。なんと英オークスを模範としてのものでした。優れた繁殖牝馬を選定しようという動きからクラシックが始まったように当時のイギリスでは牡馬よりも牝馬の方が重きを置かれていたことがこれでわかります。
そして“ダービー”という名前の由来になったのはなんとコイントス。創始者となったダービー伯爵とバンベリー準男爵とでどっちの名をつけるかということをコイントスで決めたというのが定説となっています。実は当初はダービーではなく、バンベリーという名にしようとしたのですが、当のバンベリー準男爵が片田舎であるエプソムのレースに自身の名がつけられるのが嫌で、コイントスによる決定方法を選択したという逸話があります。
さてその英ダービー、実は創設当時は1600mとかなり短いものでした。それから時を経て現在の2410mに替わりますが、10m中途半端についているのは91年に行った再計測から。当時は2400mとしていましたが、ちゃんと図りなおすとなんと10mも違ったことが判明し、翌92年から2410mという表記に替わりました。
ちなみに英ダービーが“2410m”で行われるようになったのは1872年から。つまり約120年以上も正確な距離で発表されていなかったことになります。このあたりのおおらかさが日本とは大きな違いと言えるでしょう。
なお、英ダービーは歴史が深い分、逸話が数多くあり、中でも有名なのがウィンストン・チャーチルの「ダービーを勝つことは、一国の宰相になるより難しい」と語ったとされるもの。あまりに有名なエピソードではありますが、実はこれは後世の創作話。でも、長らく信じ込まれていた点がダービーを制することの難しさを証明することになります。それ故に世界各国のホースマンが自国のダービーを目指すのは当然とも言えるでしょう。
そんな英ダービー、歴代の勝ち馬を振り返ると豪華絢爛という言葉がピッタリなほどのスターホースの連続。日本になじみの深い馬で言うと1970年にこのレースを制したニジンスキーが挙がるでしょう。名種牡馬ノーザンダンサーの代表産駒としても知られるニジンスキーは現在最後となる英3冠馬としても輝かしい成績を残しましたが、種牡馬としても超一流。日本にも持ち込み馬としてマルゼンスキーがやってきたことで、その名は日本競馬にも燦然と輝いています。
さらに翌71年にはミルリーフ、その次の年にはナリタブライアンの祖父、ウオッカの曾祖父に当たるロベルトがこのレースを勝っています。さらには91年~94年の英ダービー勝ち馬のジェネラス、ドクターデヴィアス、コマンダーインチーフ、エルハーブは皆、日本で種牡馬入りしています。
そして英ダービー馬の真打とも言えるのが95年のラムタラ。デビュー2戦目でこのレースを制しただけでなく、キングジョージ、凱旋門賞というビッグレースも制してキャリア4戦で英3冠どころか欧州3冠を達成するという驚異的な戦績を残しました。
ちなみにラムタラも現役引退後は日本で種牡馬入りしているように英ダービー馬=日本で種牡馬入りするというルートが今も根強く残っています。近年では2010年の勝ち馬、ワークフォースもその1頭です。
英ダービーの最新ブックメーカーオッズ
英ダービーのオッズが発表されている、ブックメーカーの一覧になります。
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英ダービーの見どころ
ブックメーカーの最新オッズで上位人気が予想されるのは、デザートクラウン(Desert Crown)、ストーンエイジ(Stone Age)、ネーションズプライド(Nations Pride)、ピズバディル(Piz Badil)、チェンジングオブザガード(Changingoftheguard)の5頭です。いずれも欧州の強豪馬達です。
まずはデザートクラウンから紹介します。まだキャリア2戦しか消化していないものの、英ダービーで1番人気に支持される可能性の高い素質馬です。2歳時のデビュー戦では5馬身半差の圧勝を飾ると、その後は休養をとり、今年5月に開催された英ダービーの前哨戦であるダンテステークス(GⅡ)に出走すると、多くの有力馬を相手に、3馬身1/4差の圧勝でした。まだキャリアが浅いので戦法は定まっていない部分もありますが、前走では、中段からやや後方に控えて勝負どころでは動かず、他のメンバーより一呼吸遅れての追い出しとなると、外から一気に伸びました。この末脚の破壊力が印象に残ったという方も多く、今回の支持に繋がっていると考えられます。
次に、ストーンエイジを紹介します。日本でもお馴染みのA.オブライエン厩舎に所属するガリレオ産駒の一頭です。日本ダービーでも、ダービー馬はダービー馬からという金言があるように、英ダービーでもダービー馬からダービー馬が誕生することが多いです。日本では近年はダービー馬のディープインパクト産駒が幾度も勝利を挙げていたように、イギリスではガリレオ産駒や、孫が強いです。ストーンエイジはこれまで7戦して2勝、未勝利戦を勝利したのが前々走と、ここまでだけ聞くとそこまで強豪馬ではないかと思われるかもしれませんが、未勝利の身ながらGⅠにも2度挑戦しており、昨年、フランスで開催されたクリテリウムドサンクルー(GⅠ)では2着に入っています。今年初戦の未勝利戦では2着に9馬身をつける圧勝を飾り、前走ではこちらも日本でもお馴染みのR.ムーア騎手とのコンビで愛ダービートライアルステークス(GⅢ)に挑戦し、2着に5馬身半をつける圧勝を飾りました。この馬の戦法は逃げで、前走でも好スタートを切って先頭に立つと、そのまま楽に後続との差を広げて勝ち切りました。同じく人気を集めるデザートクラウンが後方からレースを進めるため、勝つ可能性を高めるには前でレースを進めることが有効と考えられるため、こちらも勝利の可能性が十分にある一頭です。
次に、ネーションズプライドを紹介します。ゴドルフィン所有馬で、まだ重賞は勝った実績が無いものの、これまで5戦を消化して4勝、2着1回と安定した成績を残している一頭です。前走のリステッド競走では2着に7馬身差をつける圧勝を飾った馬で、陣営が勝機を見出し、追加登録で英ダービーに駒を進めてきたことからも期待ができる一頭なのは間違いありません。
続いて、ピズバディルを紹介します。この馬は3戦2勝で、前走ではアイルランドで行われたバリーサックスステークス(GⅢ)で勝利を挙げて勢いを持ってこのレースに臨んできます。さらに、日本でもお馴染みのL.デットーリ騎手が手綱を取ることが決定しました。英ダービーでもすでに2賞を挙げている世界的な名手の手綱でどのような競馬が繰り広げられるかが見どころです。
最後に、チェンジングオブザガードを紹介します。A.オブライエン厩舎所属のガリレオ産駒という素晴らしい背景を持つ馬で、5戦2勝の馬です。前走ではイギリスで開催されたチェスターヴァーズステークス(GⅢ)で勝利を挙げて、こちらも一躍有力馬となりました。この馬の強みは、思い切った大逃げで、前走でも2着馬に6馬身半の差をつける圧勝でした。大舞台でも自分の走りができるかどうかがカギではありますが、注目の一頭であることは間違いありません。
英ダービーは2022年6月5日(日)(日本時刻)の1:30に発走予定です。是非競馬発祥の地でのダービーを、馬券を買って楽しみましょう!
