競馬発祥の地、イギリスでダービーが行われるなど、各国のダービーは5月から6月のアタマに行うことが大半。フランスもその例にもれず、フランスダービーとも言うべきレースのジョッケクルブ賞が間もなく開催されます。
ジョッケクルブ賞(仏ダービー)の概要
タイトル | ジョッケクルブ賞(仏ダービー) |
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格付 | G1 |
開催国(競馬場) | シャンティイ競馬場 |
性齢 | 3歳牡牝 |
コース | 2,100m(芝) |
賞金 | 1着本賞金:85万7100ユーロ |
「ジョッケクルブ」という聞き慣れない言葉ですが、実はこれをアルファベットで表記するとJockey Club。つまり日本で言うところの競馬会を指す用語になります。馬主の集まりとして成立するこの会をフランス競馬でも採用したことでこうした名称で呼ばれるようになり、ダービーに値するレースとして名付けられることになりました。
日本では仏ダービーと表現されるこのレースですが、世界的には仏ダービーとは呼ばずにこちらの名称で呼ばれることがほとんどです。
ジョッケクルブ賞(仏ダービー)の歴史
さてそのジョッケクルブ賞の創設は1836年。他国同様にイギリスのダービーを模範にしたクラシックレースです。このレースの歴史的特徴として挙がるのが戦火の影響を受けたケースが非常に多いこと。
例えば日本ダービーは第二次世界大戦中に45年~46年の2年が中止されましたが、ジョッケクルブ賞は1871年の普仏戦争時、1915年に第一次世界大戦で中止、さらに40年の第二次世界大戦でも中止されたという経緯があります。ただし、第一次世界大戦時の16年から18年は4つの競馬場を使ってトロワザン賞として代替開催され、40年の時は6月開催ではなく11月に開催時期がずれ、シャンティ賞という名称で行われています。
そんなジョッケクルブ賞ですが、2005年を境に出走馬の傾向がガラリと変わりました。というのも、当時は他国のダービーと同じく2400mで行われていましたが、ほぼ同じ距離で行う英ダービーや自国の2400mのG1レースであるパリ大賞典との差別化ができないという理由でこの年、距離を300m縮めて2100mで開催することになりました。
距離を短縮したことで出走馬のバリエーションが増えたという見方もありますが、一方でマイラーとも言える馬にダービー馬の肩書きを与えるのはいかがなものかという反論意見もあり、現時点でも賛否両論あるのがこのレースの特徴とも言えます。歴代勝ち馬でも2400m時代はモンジュー、スラマニ、ダラカニなどの後に凱旋門賞などのビッグレースで勝利した馬がいましたが、2100mに短縮した05年以降はそうしたビッグレースを制した馬があまりいないという寂しい状態が続いています。
ジョッケクルブ賞(仏ダービー)の最新ブックメーカーオッズ
ジョッケクルブ賞(仏ダービー)のオッズが発表されている、ブックメーカーの一覧になります。
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ジョッケクルブ賞(仏ダービー)の見どころ
ブックメーカーの最新オッズで上位人気が予想されるのは、Modern Games、Al Hakeem、Vadeni、Point Lonsdaleの4頭です。また、人気は下位となりそうですが、Yoozunaも日本からはとある理由で注目されています。
まずはModern Gamesから紹介します。日本でもお馴染みのゴドルフィン所有のドバイ産駒です。この馬はこれまで7戦して5勝、2着1回とかなり安定した成績を残しています。デビュー戦こそ5着に敗れましたが、次走の未勝利戦からは安定した走りを見せ始めます。昨秋にはブリーダーズジュベナイルターフ(GⅠ)でも勝利を挙げました。休養を挟んで今年の5月に行われた仏2000ギニー(GⅠ)でも勝利を挙げるなど、このレースで本命に支持されるのも納得の実績の持ち主です。イギリス馬ではありますが、この春はフランスを主戦に活躍するようです。
次に、AI Hakeemを紹介します。この馬はこれまで4戦して3勝を挙げている馬で、全て1番人気に支持されています。日本でもお馴染みのC.デムーロ騎手が主戦を務めています。デビュー戦こそ4着に敗れたものの、そこからは3連勝してここに駒を進めてきました。まだ重賞での勝利実績こそないものの、前走のリステッド競走であるシュレンヌ賞(フランス、シャンティイ競馬場、芝2,000m)では、2着に4馬身差をつける圧勝を飾りました。この馬は2019年のこのレースの勝ち馬で、後に凱旋門賞(GⅠ)も制することとなったソットサスの再来と言われています。初めて出走する大レースに戸惑いもあるかと思いますが、持っている能力はメンバー中でもトップクラスなだけに、難なくこなせれば、ここでも勝ち負けが期待できる一頭です。
続いて、Vadeniを紹介します。こちらは、5戦3勝、3着1回とまずまずの成績を収めています。日本でもお馴染みのC.スミヨン騎手が主戦を務めており、前走フランスのシャンティイ競馬場で行われたギシェ賞(GⅢ)では見事に勝利を飾りました。ギシェ賞はこのレースの前哨戦であり、圧倒的な1番人気に推されていましたし、結果的には鞍上がゴール前で手綱を緩める余裕を見せながら2着に2馬身1/2差をつける圧勝だったため、やはり本番でも上位争いを繰り広げる一頭で間違いないでしょう。
続いて、Point Lonsdaleを紹介します。A.オブライエン厩舎所属で、これまで5戦して3勝を挙げています。先日の日本ダービーを制したドウデュースも所有するキーファーズの所有馬で、血統的には昨秋のジャパンカップにも参戦したブルームの全弟にあたります。重賞は昨夏に行われたタイロスステークス(GⅢ)を制しています。この馬は今年の4月に行われた英2000ギニー(GⅠ)ではL.デットーリ騎手を背に3番人気に支持されましたが、結果は10着と栄光には手が届きませんでした。
最後に、Yoozunaを紹介します。こちらは2013年の日本ダービーを制したキズナ産駒です。この馬は通算4戦2勝、2着2回と全てのレースで連対している馬です。前哨戦のリステッド競走では、2着に敗れましたが、父のキズナもフランスで行われたニエル賞を制して凱旋門賞でも善戦した実績もあるだけに、子どもであるこの馬にも伏兵ですが期待がかかります。もし勝つようなことがあれば、キズナの種牡馬としての価値も高まりますし、日本の競馬ファン、関係者としてもこれ以上ない結果になると思います。
ジョッケクルブ賞はフランスのシャンティイ競馬場で現地時間6/5(日)に発走予定です。日本でもダービーが盛り上がったように、フランスでもダービーは盛り上がります。是非馬券を買って、祭典を楽しみましょう!