今年のジュライカップは7月9日(土)の午後3時40分にニューマーケット競馬場の芝1207mで開催。ヨーロッパで最も格の高いスプリントGⅠと言われています。
ジュライカップ概要
ジュライカップは、ニューマーケット競馬場で開催される競馬の重賞(GⅠ)競走である。
レース名 |
ジュライカップ |
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格付 | GⅠ |
開催国(競馬場) | イギリス(ニューマーケット競馬場) |
性齢 | 三歳上 |
コース | 芝1207M |
賞金 | 賞金総額:60万ポンド |
ジュライカップの歴史
7月に入りヨーロッパも夏競馬の様相です。今回行われるジュライカップは1876年に創設され今回で142回目となる歴史あるレースで、イギリスのみならずヨーロッパでも最も格の高い最重要スプリントGⅠです。
ジュライカップが行われるニューマーケット競馬場はイギリス1000・2000ギニーや2010年まで開催されていたイギリスチャンピオンステークスの開催競馬場として知られていて、ニューマーケットはサラブレッド生産の中心地であり、競馬場以外にも調教場、競り場が集約されていることから「競馬の故郷(Home of Racing)」と呼ばれています。
特徴的なのはいずれも直線競馬であること。新潟競馬場も直線1000メートルのレースが存在しますが、ニューマーケット競馬場ではゴールまでの直線がイギリスの競馬場では最長2000メートルもあり、ラスト300m付近から急勾配の坂が待ち構える非常にタフなコースです。コースは夏季開催で使用される「ジュライコース」と春秋の開催で使用される「ローリーマイルコース」の二つで、今回のジュライカップは文字通りジュライコースで開催されます。
イギリスのタフなコースらしく勝ち時計は例年1分9秒~11秒台と日本のスプリントGⅠとは全く異質のレースとなります。日本馬の参戦はこれまで3頭で、2000年に日本馬として初参戦したアグネスワールドが優勝。日本のGⅠでは勝ち切れず2着までだった同馬が前年のアベイ・ド・ロンシャン賞に続くGⅠ勝利を収めたことから、海外のレースでは競走能力に加えて馬場適性も重要と論じられるようになったのもこのレースがきっかけでした。
中距離路線に比べてそれほど注目を集めにくいスプリント路線ですが、今年のイギリス・アイルランド競馬を盛り上げているステートオブレストやネイティブトレイルは過去にジュライカップを優勝したスタースパングルドバナー・オアシスドリームの産駒であり、優良種牡馬を輩出しているレースとも言えるでしょう。
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ジュライカップの見どころ
近年海外において快進撃を続けている日本馬ですが、イギリスに限っては中々結果を残せずにいます。これまでGⅠ勝利を収めたのは長期遠征を敢行したディアドラの2019年ナッソーステークス、このジュライカップを制した2000年のアグネスワールドのみとなっています。
約20年前は海外遠征のノウハウも今ほどなく、海外GⅠを制したのも1998年のシーキングザパールが初という時代。そんな中で日本でGⅠ勝利経験のない馬が海外でGⅠを2勝したことや、イギリスの権威あるスプリントGⅠを制したアグネスワールドの成績は、この時代になって数字以上により輝きを持つ快挙と言えるでしょう。
ジュライカップがヨーロッパでも最も格の高いスプリントGⅠと言われる所以は、6月に行われるキングズスタンドステークスとプラチナジュビリーステークスに出走した優勝馬や出走馬が集うことです。それだけ出走馬も強豪揃いとなりますが、今年は日本馬のキングエルメスの参戦が決定しました。
キングエルメスは昨年6月にデビューしたばかりの3歳馬。GⅠ勝利経験もなく前走NHKマイルカップでは9番人気6着と、戦績だけを見ると物足りない印象ではあるでしょう。しかし調教師では近年の海外GⅠで突出した成績を残す矢作調教師とパンサラッサやバスラットレオンに代表される広尾サラブレッド倶楽部のコンビだけに期待が集まります。
ちなみにキングエルメスの母ステラリードは広尾サラブレッド倶楽部における初重賞制覇となった馬であり、またキングエルメスもGⅠ勝利こそありませんが、マイルではやや長い面も見られるだけにスプリントの距離に適性を見出したいところです。
現状一番人気が予想されるのはキングエルメスと同じ3歳馬のパーフェクトパワーです。レース当日の馬場状態次第では回避して翌日にフランスで行われるジャンプラ賞も視野に入れていますが、これまでの戦績は出走馬の中では抜けた存在です。
2歳時はモルニ賞とミドルパークステークスを優勝。前走ロイヤルアスコット開催で行われたコモンウェルスカップでは横一線の隊列から大外から突き抜けて優勝、GⅠ3勝目を飾りました。初の古馬との対戦になるため力関係が鍵となりそうですが、同馬が敗戦したイギリス2000ギニーの2着馬ネイティブトレイルもエクリプスステークスで僅差の3着、優勝馬も同じ3歳馬のヴァデニと世代レベルに問題はないでしょう。
対抗はアルトーリアスです。日本のグレナディアガーズも出走したプラチナジュビリーステークスでは伏兵ネイヴァルクラウンの強襲により僅差の3着となりました。初の欧州遠征という不利な状況の中での善戦と、良質なスプリンターを輩出をするオーストラリア産もあって実績以上に評価されている一頭です。プラチナジュビリーステークスでの善戦を経て調教師は「タフなレースになるほど彼に向くと私は思っている」と不気味なコメントを残しています。
続く人気はクリエイティブフォースです。ゴドルフィン所属・ドバウィ産駒の同馬は、昨年6戦5勝で臨んだジュライカップでは5着という結果に終わりました。その後イギリスチャンピオンズスプリントステークスでGⅠ初制覇となり、前走プラチナジュビリーステークスでは同じゴドルフィン所属馬のネイヴァルクラウンのクビ差の2着という結果に終わりました。戦績の波が激しい同馬ですが、昨年のジュライカップでも2着馬以降とは僅差の善戦であり期待が持てるでしょう。
最後は約590万円の追加登録料を払って参戦が決定したフレーミングリブ。コモンウェルスカップでは一番人気が予想されているパーフェクトパワーの2着と善戦しました。同馬の近親にはフランスオークス馬スタセリタや2017年オークス馬ソウルスターリング、今年の桜花賞、オークスの二冠を制したスターズオンアースがいる血統です。また馬主はイングランド代表やリバプールで活躍したマイケル・オーウェン氏で注目が集まっています。
ジュライカップは7月9日(土)の午後3時40分発走予定です。日本馬のキングエルメスも出走するだけにしっかりと馬券を取りたいですね!