秋競馬が開幕し、盛り上がりを見せる日本競馬。世界各国の競馬も秋の大レースに向けて有力馬が徐々に復帰してくる時期ですが、夏にピークを迎えた欧州の短距離戦線はそろそろクライマックスに差し掛かってきました。中でもジュライC、ナンソープSと短距離の主要G1を終えたイギリスではそのフィナーレともいうべきレース、スプリントCの開催が近づいてきました。
ヘイドックスプリントカップの概要
タイトル | ヘイドックスプリントカップ |
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格付 | G1 |
開催国(競馬場) | ヘイドックパーク競馬場 |
性齢 | 3歳以上 |
コース | 1,200m(芝) |
賞金 | 賞金総額26万ポンド |
スプリントCはイギリスのヘイドックパーク競馬場の芝コース6ハロン(約1207m)で開催。3歳以上の馬が出走可能で、先に行われたジュライC、ナンソープSらとともにイギリス短距離レース三冠の一つに数えられています。
ヘイドックスプリントカップの歴史
短距離三冠レースの最終戦として知られるスプリントCの創設は1966年と他の2レースに比べるとはるかに遅く、ジュライCと比べると約100年近い歴史の開きがあります。創設当時の条件は名前の由来にもなっている距離こそ変わりませんが、開催は秋も終盤の11月、そしてナンソープSと同じく2歳馬の出走も許可していました。
秋冬はオフシーズンになる欧州の競馬の事情もあり、当時のメンバーと言えば2歳馬が多く、トップスプリンターが集まることはあまりありませんでした。しかも舞台となるヘイドックパークの周辺はこの時期になると濃霧が発生することもあり、開催3年目となった68年にはその濃霧が原因となってレースが中止になるというハプニングもありました。
そこでレースの改革を目指すため、79年に開催時期を現在の9月に変え、80年には3歳以上の馬のエントリーに絞ります。当時はまだG2レースでしたが、88年にG1に昇格してようやく名前にふさわしい格を得るようになりました。そしてこの頃から出走馬のレベルも上がっていきました。
G1昇格後の勝ち馬を見ていくと、まず知られているのがデインヒル。種牡馬入り後にはオーストラリアや日本で数々の活躍馬を輩出し、シャトルサイアーとしての地位を不動のものにしました。その翌年には欧州ナンバーワンスプリンターの名をほしいままにしていたデイジュールが制し、レースの格が一気に上がります。そして99年には翌年の安田記念に来日して2着に入ったディクタットが勝利しています。
また、02年には日本のエアトゥーレがこのレースに参戦。結果こそ11着と振るいませんでしたが、先のディクタットの件もあり、日本の競馬ファンからも知られるレースになりました。
ヘイドックスプリントカップの最新ブックメーカーオッズ
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ヘイドックスプリントカップの見どころ
ブックメーカーのオッズで、上位人気が予想されるのは、ミンザール、ネイヴァルクラウン、エマラーティアナ、ロハーンの4頭です。
いずれも劣らぬ優秀なスプリンター達です。例によって、一頭ずつ紹介していきます。まずは最上位人気が予想されるミンザールから紹介していきます。地元イギリス調教の4歳牡馬です。この馬は、デビューから一貫してスプリント競走を使い続けて来た馬です。デビュー戦の未勝利戦こそ4着に敗れましたが、そこからは前走まで9戦して8度馬券内に入る安定した活躍を見せています。意外なことに、まだGⅠには手が届いていないですが、ミドルパークステークス(GⅠ)、英チャンピオンズスプリントステークス(GⅠ)で共に3着に入り、前走のモーリスドゲスト賞(GⅠ)では2着に入る活躍を見せています。また、GⅡ、GⅢについてはそれぞれ1勝ずつを挙げています。特につい先日、8/7(日)に行われたモーリスドゲスト賞には日本からも矢作厩舎のキングエルメスが坂井騎手とのコンビで挑んでいた(11着)ため、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。まだGⅠは勝てていないですが、その安定感はメンバー中随一のため、ここでも活躍が期待される一頭です。
次に、ネイヴァルクラウンを紹介します。ゴドルフィンが馬主のドバイ産駒の4歳牡馬です。この馬といえば、今年の6月18日にイギリスのアスコット競馬場で行われたプラチナジュビリーステークス(GⅠ)で勝利を挙げたことで有名です。このレースには、日本からも中内田厩舎のGⅠ馬、グレナディアガーズが参戦していた(19着)ことから、記憶に新しい方も多いと思われます。その後はジュライカップ(GⅠ)、モーリスドゲスト賞と連戦しますが、それぞれ2着、5着と敗れました。スプリントGⅠを制しており、実績的にはメンバー中トップクラスですから、ここでも十分に勝利が意識できる一頭です。
続いて、エマラーティアナの紹介です。ベテラン6歳せん馬です。何を隠そう、昨年のこのレースの勝ち馬です。ディフェンディングチャンピオンとして臨む一戦です。昨年のこのレースの勝利以降は約1年間馬券に絡むことが出来なかったですが、先日8/19のナンソープステークス(GⅠ)で3着に入り、久しぶりに馬券内に入線しました。実は昨年もナンソープステークスで2着に入って、スプリントカップで優勝するというローテでした。今年は1つ着順を落としていますが、ここに来て調子を上げてきていることは間違いありませんので、得意の舞台で再び輝けるかが注目となります。
続いては、ロハーンの紹介です。この馬は4歳牡馬で、まだGⅠでは目立った活躍をできていませんが、実は約2年前の条件戦での走りが話題となりました。1,200mのレースにおいて残り400m地点でもまだ最後方を追走していた同馬でしたが、そこから末脚を発揮し、馬群を縫って全ての馬を交わし、先頭でゴールしました。それも最後は2馬身差をつける快勝でした。SNSでこの衝撃的な走りが話題となっていました。条件戦ではありますが、その衝撃的な走りは、多くの競馬ファンを熱くしました。まだGⅠには手が届いていないですが、持っているポテンシャルはかなりのものですから、いつ再び衝撃の走りが披露されるか見ものです。もしまたあの走りができるようであれば、この強力なメンバーが相手でも、きっと差し切ってしまうことでしょう。再び多くの競馬ファンを驚かすような走りを期待したいところです。
ヘイドックスプリントカップは2022年9月3日(土)に、イギリスのヘイドックパーク競馬場にて開催されます。イギリス競馬のスプリント路線のフィナーレを飾る大一番です。是非馬券を購入して応援しましょう!