8月も半ばを過ぎ、日本の競馬も秋のビッグレースに向けて徐々にトップホースたちが休養から復帰し始めました。競馬発祥の地であるイギリスもそうした傾向があり、秋のビッグレースである凱旋門賞に向けて有力馬がスタンバイを始めます。そうした有力馬たちが休み明けから戻ってくるレースの大本命とも言える、インターナショナルSが間もなく迫ってきました。
インターナショナルステークス2022の概要
タイトル | インターナショナルステークス |
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格付 | G1 |
開催国(競馬場) | ヨーク競馬場 |
性齢 | 3歳以上 |
コース | 2,000m(芝) |
賞金 | 総賞金100万ポンド |
インターナショナルステークス(International Stakes、英国際ステークスと訳される場合もある。正式名称はJuddmonte International Stakes)は、イギリスのBHA(英国競馬統括機構)がヨーク競馬場の芝10ハロン56ヤード(約2063m)で施行する競馬のG1(グループ1)競走である。
インターナショナルステークス2022の歴史
インターナショナルSはイギリスのヨーク競馬場の芝コース10ハロン88ヤード(約2092m)で開催。凱旋門賞を目指す有力馬たちのステップレースであるとともに夏の中距離王者決定戦と言う位置づけのレースでもあります。
伝統あるイギリス競馬の主要G1レースですが、創設されたのは1972年と比較的最近のもの。しかも当時はベンソン&ヘッジズゴールドCという名前で行われていました。新設された72年から大注目を集めたレースとなりましたが、その理由は豪華な出走メンバーでした。
この年の出走馬の目玉はブリカディアジェラード。初代欧州三冠馬となったミルリーフの最大のライバルとして知られた馬で、あのミルリーフがただの一度も先着できなかったこともこの馬の強さを物語るものでした。ブリカディアジェラードは主にマイル~中距離戦線を主戦場としていてG1レースを10勝以上、デビューから15戦負けなしでこのベンソン&ヘッジズゴールドCに出走してきました。
このレースを制すればリボーが持つヨーロッパの連勝記録のトップタイに並ぶ16連勝と言う大偉業を成し遂げることになるブリカディアジェラードはダントツ人気でこのレースに出走しましたが、結果はまさかの2着。この年の英ダービーを制したロベルトの逃げ切りを許すという波乱の展開でした。ちなみにロベルトと言えば、産駒のブライアンズタイムやリアルシャダイを介して日本競馬界でも活躍馬を数多く輩出したことでも知られています。
凱旋門賞への有力ステップの一つではありますが、2000m前後の距離ということでブリカディアジェラードのようにマイルから中距離戦線を主戦とする馬も数多くエントリーしてくるレースとしても知られています。00年以降の勝ち馬を見てもジャイアンツコーズウェイ、フランケルらがブリカディアジェラードタイプのマイラーで、サキー、シーザスターズ、さらに一昨年の勝ち馬ポストポンドらは凱旋門賞へのステップとしてこのレースを選択してきました。
まさに中距離馬とクラシックディスタンスを狙う馬たちが一堂に会するレースで、絢爛豪華なメンバーが毎回揃うことでも知られています。ちなみに日本馬でも05年にゼンノロブロイがこのレースに遠征し、エレクトロキューショニストとの激しい叩き合いの末に2着に敗れたことで日本の競馬ファンにも知られています。近年もシュヴァルグランが参戦して話題になったのは記憶に新しいことでしょう。
インターナショナルステークス2022の最新ブックメーカーオッズ
インターナショナルステークス2022のオッズが発表されている、ブックメーカーの一覧になります。
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インターナショナルステークス2022の見どころ
ブックメーカーのオッズで上位人気が予想されるのは、バーイード、ミシュリフ、ネイティブトレイルの3頭です。いずれも強豪馬です。
まずは、バーイードから紹介します。地元イギリスの4歳牡馬です。シーザスターズ産駒で、母父キングマンボと、なかなかの血統の持ち主です。全兄には今年のコロネーションカップ(GⅠ)を優勝したフクムがいます。バーイードは、なんとこれまで9戦して9勝している強者です。2021年春のデビューから勝ち星を積み重ねていき、2021年秋から今年の7月まで出走したG1競走で5連勝を達成しています。特筆すべき点として、この馬はデビュー以来マイルの競走にのみ出走しています。今回のインターナショナルステークスは2,000mでの開催となるため、中距離への適性が鍵となりそうです。距離については、管理するW.ハガス調教師曰く「2,000mはバーイードにとって不利にはならないはずだ」と距離延長を克服する自信をにじませていました。ただ一方で、秋にフランスで開催される凱旋門賞(G1 2,400m)への参戦は明確に否定しており、距離は2,000m程度までが限界と感じているようです。最強マイラーが中距離レースに参戦するということで、競馬ファンもかなり注目しており、各ブックメーカーも断然の1番人気に支持しています。マイル路線で活躍しており、中距離に参戦した歴代の名馬においては、フランケルのようにこのレースを制した馬もいますし、その逆にクラスの壁に阻まれた例も数知れずです。バーイードのこの挑戦はどのような結果となるか、非常に注目です。
次に、ミシュリフを紹介します。アイルランド生産の5歳牡馬です。昨年のこのレースの勝ち馬です。日本からクロノジェネシスも参戦した2021年のドバイシーマクラシック(GⅠ)で、そのクロノジェネシスを退けて優勝したことで、日本のファンの皆さんにもお馴染みの馬なのではないでしょうか。この馬は芝ダート二刀流の馬で、2021年には世界最高賞金レースであるサウジカップも制しています。昨年のインターナショナルステークスでの優勝以来、勝ち星には恵まれていませんが、今年に入ってもエクリプスステークス(GⅠ)で2着、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス(GⅠ)でも3着に入るなど、5歳になった今年もまだまだ健在なところを見せつけています。しかし、その2戦では共にスタートで出遅れており、2度あることは3度あるとも言いますので、今回もスタートには十分注意が必要です。今回の舞台のヨーク競馬場は直線が長いので、多少の出遅れはカバーできるでしょうけど、強いメンバーが相手なので、今回はスタートを決めたいところです。
最後に、ネイティブトレイルを紹介します。イギリス産の3歳牡馬です。今年の欧州のクラシック路線を賑わせている馬の一頭です。昨年時点でGⅠを2勝しており、断然の注目を集めたクラシック路線では、英2000ギニー(GⅠ)で2着、愛2000ギニー(GⅠ)では優勝と、大活躍をしました。その後に臨んだ先月のエクリプスステークス(GⅠ)でも3着に入るなど、トップクラスの実力を持っていることを証明しています。この馬も、前々走まではマイルまでしか走っていませんでしたが、前走で中距離を走り、目処がついたこともあり、ここでも人気を集める一頭になりそうです。
インターナショナルステークスは、2022年8月17日にイギリスのヨーク競馬場で発走となります。日本時間では同日の23:00頃の予定となっています。現役最強マイラーが中距離レースに参戦する見所たっぷりのレースとなっています。是非馬券を買って、好きな馬を応援しましょう!