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スポーツベッティングに八百長はあるの?|スポーツ賭博の不正行為問題と対策について

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時代を問わず古今東西、スポーツに賭け事が絡むと八百長という深刻な問題がついてきます。はたしてスポーツベッティングの世界には八百長があるのでしょうか?

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世界中のあらゆるスポーツの試合がブックメーカーによって賭けの対象とされ、オンラインで簡単に賭けることが可能になり、スポーツベッティングの八百長問題もより複雑化され深刻な問題となっています。

サッカー、テニス、大相撲までスポーツに絡む八百長問題が毎年のように報道されています。

不正に得た巨額のマネーがマフィアや暴力団といった反社会的勢力の資金源となるケースも多く、もはやスポーツ界に留まらず国家レベルで解決しなくてはいけない問題となっています。

このページでは、

  • スポーツの世界でどのような八百長が行われてきたのか?
  • なぜスポーツで八百長が起こるのか?
  • スポーツの八百長をなくすことはできるのか?

といったスポーツベッティングの八百長問題に関する原因と対策について解説します。

目次

スポーツベッティング八百長問題の歴史

スポーツ賭博と八百長問題は切っても切り離せない問題です。世界で最も人気のあるスポーツであるサッカーは大金が絡むビジネスですから、裏社会の人たちが関与して八百長をもちかけてくる場合が少なくありません。

またテニスは個人競技なので、故意に負けたりミスプレイをしても発覚しづらいため八百長が行われやすいと言われています。

過去にどのようなスポーツに関わる不正行為があったか歴史をみてみましょう。

年代 概要
2006年 イタリアのサッカーチーム、ユベントスを中心としたトトカルチョ八百長問題。長くリーグ優勝から遠ざかっていたユベントスの経営幹部が、審判や他チーム(ACミラン、フィオレンティーナ、ラツィオ、レッジーナ)を買収し有利な判定を行うよう不正行為を行っていた。証拠不十分で逮捕は免れたものの、ユヴェントスが直近2年間で獲得したタイトルが全て剥奪され、セリエBに降格させられた。
2007年 テニス男子で世界ランキング4位だったニコライ・ダビデンコ選手(​ロシア)が途中棄権した試合で八百長疑惑について調査を開始。対象となった2選手は不正はなかったと判断されたが、調査そのものはさらに範囲を広げて続けられた。ATPは、ロシアや北イタリア、南イタリアのシチリアの賭博組織が八百長とみられる試合で数十万ポンドの利益を上げたと結論付けた。八百長とされた試合にはウィンブルドン大会の3試合が含まれている。
2010年 イングランド地方で行われたクリケットの国際選手権で、パキスタン人選手の八百長が発覚。ロンドン在住のスポーツ・エージェントがマフィアから15万ポンド(約1,800万円)を受け取り、その一部を選手に渡して故意に反則投球を行わせた。金銭の受け渡しの盗撮画像がウェブサイトに掲載され、八百長に関わった選手とエージェントは有罪判決を受けた。
2011年 大相撲八百長問題。2011年の春場所、現役の大相撲力士による本場所での取り組みにおける八百長疑惑。春場所が中止になるとともに、八百長に関与した力士に対して2年の出場停止、引退勧告。
2010~
2011年
韓国サッカーKリーグ八百長事件。韓国のスポーツくじ「スポーツtoto」で利益を得るために、暴力団関係者が八百長を依頼。関与した選手は、Kリーグ、FIFA(国際サッカー連盟)から永久追放処分を受けた。
2013年 世界15カ国で行われたサッカーの380試合で八百長が行われた可能性があるとして捜査を開始。その結果、イタリアで50名を超える逮捕者が出た
2015年 テニスジュニア時代に錦織圭選手とダブルスを組んで、国別対抗戦の世界大会に出場したこともある三橋淳選手が11月に南アフリカで行われた下部組織のツアー大会で、他の選手にシングルス2,000ドル、ダブルス600ドルでわざと負けるよう八百長を働きかけた。同年には、他にテニスの試合に関して76件の賭けを行っていた。永久資格停止と罰金5万ドル(約565万円)の処分となった。
2019年 バリャドリード対バレンシアのサッカーの試合で、ハーフタイムまで0-0、その後バレンシアが勝つように八百長が仕組まれた。関与したと思われる関係者、選手など10人が逮捕された。
2015~
2019年
テニスエジプトではトップクラスの選手ヨセフ・ホッサム(エジプト)が八百長試合に8回、スポーツ賭博に関わる違反行為に6回関与した。下部大会での優勝経験もあり、ジュニア世界ランキングで最高8位になったこともある有望若手選手だったが、他のプレイヤーにわざと負けるよう3回以上勧誘していた。生涯出場禁止処分となった。
ジャパンちゃん

もちろん、ほとんどの試合は正当に行われいますからご安心ください。

なぜスポーツベッティングに八百長が起きるのか?

なぜ、リスクを犯してまで八百長に参加してしまうのでしょうか?スポーツに八百長が起きる原因は3つあります。

  1. 八百長をしてしまう動機がある
  2. 八百長ができる機会がある
  3. 八百長を正当化してしまう

それぞれの原因を詳しくみていきます。

動機・プレッシャー

多くの場合、お金に関わる動機が一番の理由です。大相撲八百長問題の場合は、1勝の経済価値が力士間で全く異なります、特に十両と幕下力士の待遇に格差があることです。十両以上の関取には月給100万円が保証されるのに対し、幕下は全く支払われません。幕下に降格されるリスクより、お金を払って幕下の力士に不正取引を勧誘するほうがメリットがあるからです。

またサッカーの場合審判が不正に参加するケースが多く、彼らの多くは「1試合あたり十数万円」という形で報酬を受け取っています。毎回試合に出られる保証もないため、そんな審判に対して不正を持ちかけるケースも多く、100万円程度の報酬で働きかけたら、心が動いてしまうことも十分な動機になります。

機会

機会とは、不正をしようと思えば出来てしまう環境のことです。これはスポーツの八百長に限らず、会社でも経理部の人が会社のお金を横領してしまうのと一緒です。審判やスポーツの勝敗を決めることができる当事者といった権限のある立場もまた、機会を作り出すことがあるわけです。

正当化

不正を行う場合は、組織ぐるみで行うことが大半です。そのため、周りもやっているからいいだろうといった心理が働きます。金銭的に苦しい審判の立場であれば、「大切な家族を守るため」といった切実な理由があるかもしれません。

スポーツの八百長に限らず世の中で起こっているほとんどの不正は正当化されます。大企業が粉飾決算やインサイダー取引や、食品の産地偽装といった不正行為は悪いこととは知っていても、「会社のため、社員や家族のため」と自己正当化することで行われているのです。

より深刻化してきている八百長問題

今やブックメーカーが提供するスポーツベッティングは、単なる勝敗だけでなく、選手の個々のプレ―や動作など、賭けの対象となっていて、その範囲も日々拡大・細分化されています。

SNSの急速な普及

現在はSNSなどの発展により、メッセージの送信や通貨の交換なども、瞬時かつ簡易に可能になりました。現役のアスリートと直接繋がれることから、「対戦相手に賭けているから、負けろ」といったようなメッセージを送ることも容易です。

送金の方法も、直接のやりとりでは足がつきやすいことから、投げ銭や仮想通貨を使って送るなどして、資金の流れをわからなくする方法を取ります。

コロナによるスポーツ経済への大打撃

2020年から始まった新型コロナウィルスの猛威によりスポーツ界は大打撃を受けています。スポーツ大会が無観客や延期に追い込まれている。経済的な損失は相当額に上るとみられ、選手や監督も試合に携わるスタッフもその影響は大きくのしかかっています。

特にランキングが下位のプロ選手たちが経済的な影響を受けるなか、テニス不正監視団体であるTIU(テニス・インテグリティ・ユニット)が八百長やドーピングの増加を危惧しており、以下の様な声明を出しています。

「プレーと収入の機会が減り、数ヶ月間の活動休止を余儀なくされたことによって、(八百長などの)スポーツ賭博関連の汚職やドーピング違反へのリスクが高まっていると思われる」

選手たちが置かれている経済的に困難な状況を「新型コロナウィルス」を理由に八百長を正当化させる「スポーツ界の汚職」が増えてもおかしくない状況になりつつあります。

スポーツベッティングで八百長を防止できるのか

八百長防止の施策には,「予防」,「管理」,「検証」の3段階があるといわれています。

予防

予防とは,選手や関係者に対する教育,啓蒙活動などであり,八百長による悪影響やリスクなどを正確に理解させることを目的とします。

専門家を講師に招くなどしてセミナーを開催したりして,選手や関係者の意識向上を図ること等が多いです。

日本でもサッカー界とサッカー界以外のステークホルダー間の連携を図る協議会を立ち上げ、世界のサッカー界での八百長対策、日本のサッカー界での八百長予防教育などの話し合いが行われました。

管理

管理とは,八百長が行われていないかどうかを調査することです。日本サッカー協会(JFA)はFIFA Early Warning System社と連携をとり不正の管理をしています。EWS社はサッカーの試合を対象としたスポーツ賭博市場での賭け率の異常変動を監視し、情報を分析するシステムをもっています。

常に本格的な八百長調査を行うことは,中小規模の団体にとっては難しいかもしれませんが,このようなシステムを導入することで八百長の疑いが生じた時にいつでも調査体制を整えられるよう,普段から準備しておくことが重要です。

検証

検証とは,八百長防止に関する競技団体の内規を整備したり,実際に八百長に関与した選手や関係者の摘発や処分等を行うことです。

八百長が疑われるような行為があった場合に,どのような処分が下されるのか,そもそも八百長であるとの認定はどの機関が行うのか等,適切なルール作りがされていなければ,問題が発生した際に十分な対応ができません。

2016年には、テニスのトップレベルで八百長が行われているという疑惑があり、男子プロテニス協会(ATP)、女子テニス協会(WTA)、国際テニス連盟(ITF)、および四大大会の責任者は26日、腐敗防止対策を点検するため独立調査委を設置したこともありました。

 

スポーツベッティング八百長防止の具体的な施策

ブクメちゃん
でも、八百長があるっていうイメージがあると安心して賭けられないね。
トウシくん
それでは次に、各スポーツの統括組織やブックメーカーなどが、どのような対策を行っているかを見てみましょう。

ここでは、スポーツベッティング先進国のヨーロッパの議会やブックメーカーが八百長問題に対し、どのような施策をしているかについて解説します。

八百長防止のための法規制

欧州評議会(the Council of Europe)は,2014年に,スポーツの八百長防止に関して,初の国際的ルールを定めた条約”the Convention on the Manipulation of Sports Competitions”を採択しました。

「国内・国外とを問わずスポーツ競技における八百長を防止し,調査し,制裁を加えること」及び「国内・国外とを問わずスポーツとスポーツ・ベッティングに関連する公的機関や組織間における八百長防止に向けた協力関係を促進すること」

(同条約1条2項より引用)

 

スポーツベッティングの市場規模が大きくなればなるほど,関与する当事者も増えてきます。そのためベッティングの主催者,スポーツ団体,さらには捜査機関、警察との間での連携が重要となってきます。

そのために,統一化されたルール作りが,欧州では進められているのです。

専門家による試合の監視

サッカーやテニス、バスケのような競技においては試合の映像などを複数の専門家がチェックして、おかしなプレイがなかったか、わざとミスをしていないかなどをチェックしています。
また、八百長が発覚した場合にはライセンスの永久剥奪、永久追放を行うなどペナルティを厳格にすることによって、抑止しています。

不自然なベットを監視

八百長が疑われる試合では、通常でありえないベットが集中します。

関与している組織も、複数のブックメーカーにベットを分散させたり、打ち子のような人間を雇って巧妙にベットをしてきます。

そこでブックメーカー各社が連携を取り、疑わしいベットは受け付けなかったり、一度受け付けてもその後でベット取り消しなどの対応を取っています。

ジャパンちゃん
ベットを監視するだけで、八百長を見抜けるものなの?
トウシくん
ブックメーカーには、何十年も蓄積したビッグデータがありますからね。
おかしなベットが集中すると、かなり高確率で感知できるようになっています。
ブクメちゃん
なるほど。私たちみたいな普通のプレイヤーが安心して遊べるようにしてほしいですね。

ブックメーカー八百長問題のまとめ

ブックメーカーの八百長問題について解説してきました。スポーツ先進国におけるスポーツベッティングの八百長対策は、データ解析の先端技術や各種教育活動により洗練されたレベルに到達しています。

スポーツベッティングが日本に進出しつつある今、改めて八百長や不正・防止の対策が十分か考え直す必要があります。

ジャパンちゃん
安全にスポーツベッティングを楽しむことができる環境になってほしいですね。
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