スポーツベッティングとは、サッカーや野球、テニス、バスケなどの試合に合法的にお金を賭けて楽しめるギャンブルです。
最近は、海外のあらゆるジャンルのスポーツで活躍する日本人選手が増えてきたので、国内のみならず海外スポーツに興味のある人も多いのではないでしょうか?
試合を観戦するだけでなく、リアルマネーを賭けることができるスポーツベッティングとは?
この記事では、スポーツベッティングの成り立ちや仕組み、日本で将来的に合法化されるかなど、政府の検証をふまえて分かりやすく解説します。
スポーツベッティングとは?ブックメーカーの違いを解説
ブックメーカー(スポーツブック)とは、政府公認の賭けの胴元のことです。
政府の許可を得て、世界中のサッカーリーグ・野球・バスケット・テニス・アイスホッケー・アメフトNCAA バスケットなど様々なスポーツが対象となり、そしてさらにクリスマスは雪が降るかどうか?次の大統領は誰が選ばれるか?ワールドカップはどこで開催されるか等々・・・
スポーツイベントだけではなく、政治や経済に関する事柄など、さまざまな出来事の結果を
予想し、正解すると配当がもらえるというゲーミングの胴元をブックメーカーと言います。
そして、このスポーツの試合の結果を予想してお金を賭けて遊ぶゲーミングのことを
スポーツベッティングと言います。
- スポーツの試合の結果を予想してお金を賭けて遊ぶゲーミングのことをスポーツベッティングと言います。
- この賭けの胴元のことを、ブックメーカー(スポーツブック)と言います。
スポーツベッティングは欧州ではとても人気で、例えば日本で言うところのサッカー振興くじのtoto や宝くじのように非常にポピュラーなものとして既に浸透しています。
単なる勝敗だけでなく、得点数やハンディキャップなど豊富な賭け方があるため、初心者の人でも上級者の人など、レベルや資金によって誰でも楽しめます。
賭けられるのは、スポーツだけではありません。
アメリカ大統領選挙やイギリスのEU離脱などの政治問題、グラミー賞やテレビ番組の結果を予想する芸能ジャンル、世界の天気に賭けられるブックメーカーも存在します。


本場イギリスのスポーツベッティング
スポーツベッティングの歴史は、遠く1790年代にまでさかのぼります。
イギリスのニューマーケット競馬場で、ハリー・オグデンという人がレースの出走馬にオッズをつけて賭けを募集したことから始まりました。
その後、賭けの対象が他のスポーツにも広がり、1960年にはブックメーカーがイギリス政府公認とされました。
現在では、スポーツ以外に政治・芸能分野に関する賭けも登場し、イギリスのみならず欧米ではブックメーカーが娯楽として浸透しています。
スポーツベッティングを主催しているブックメーカーとは
ギャンブルというと、日本ではネガティブなイメージが強くなりますが、ヨーロッパではスポーツの試合にお金を賭けて楽しむという行為は娯楽として考えられており、広く一般的に受け入れられています。
スポーツベッティングは日本の公営ギャンブルと違い、各国の政府機関からライセンスを取得した民間のブックメーカーが運営しています。
運営会社は日本では考えられないほど大きな規模を誇り、社会的な地位も高い点が特徴です。
さらに、世界三大証券取引所のロンドン証券取引所に上場しているほどの大企業です。
同じく業界最大手クラスのbet365は、4500人以上の従業員を抱えた世界的な企業で、現在も成長を続けています。
運営規模だけでなく、スポーツ界の発展に関する貢献度も見逃せません。
こちらに、主なブックメーカーと過去・現在にスポンサーになった主なチーム、大会などをまとめました。
ブックメーカー | スポンサー |
ウィリアムヒル | FAカップ、レアル・サラゴサ、全豪オープン(テニス) |
bet365 | ストーク・シティFC、スカイスポーツ |
10bet | ユヴェントスFC、ブラックバーン・ローヴァーズFC |
188bet | F1(アジア)、世界バドミントン連盟 |
Dafabet | セルティックFC、フラムFC、FAウェールズ |
スポーツベットアイオー | サウサンプトンFC、ワトフォードFC、フラメンゴFC |
マラソンベット | マンチェスター・シティFC、セビージャFC、SSラツィオ |
ネットベット | バスコ・ダ・ガマ、レッドブル・ブラガンチーノ |
ベットウェイ | ウェストハム・ユナイテッド、レスター・シティFC、レバンテUD、eスポーツ協会 |
今後、アメリカでスポーツベッティングなどオンラインギャンブルが解禁になれば、さらにブックメーカーの重要度が増えていくと予想されます。
スポーツベッティングの特徴・魅力は?
次に、日本の公営ギャンブルより圧倒的に魅力的なスポーツベッティングの特徴や魅力について解説します。
24時間いつでもできる
スポーツベッティングは、世界中のスポーツの試合を対象にしているので、試合がある限りは24時間いつでも賭けられます。パチンコのように、営業時間というものはありません。
それに加えて、明け方ごろからは南米(ブラジル、アルゼンチン、コロンビアなど)、北米の試合が午前中にかけて多く組まれています。
このように、ほぼ365日24時間あらゆるスポーツが行われていますから、自分の都合のいい時間帯に賭けられるのがスポーツベッティングのメリットです。
そのため、夜しか遊べない人にもブックメーカーはおすすめですよ!
ブックメーカー方式である
ブックメーカーのオッズの仕組みを、日本の公営ギャンブルと比較して説明します。
まず日本の公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇など)は、パリミチュエル方式を採用しています。
これは、投票券の総売上から胴元が一定分(約25~30%)を差し引き、残った金額を購入者に還元するというシステムです。
そのため、購入時点では配当(オッズ)は確定していません。
たとえば、大穴狙いで購入時点に30倍の馬券や舟券を買っていたとしましょう。
その後で、同じ賭けに購入が集中すると最終的にオッズが下がる可能性があります。
一方、ブックメーカーではオッズが最終的に下がっても、購入時のオッズが適用される仕組みになっています。

10倍のオッズでベットすれば、たとえ5倍に落ちても予想が的中した場合には、賭け金の10倍配当が払い戻されます。
このように、ブックメーカーの方が日本の公営ギャンブルよりも賭ける側に圧倒的に有利といえるのです。
スポーツベッティングを始めてからは、競馬や競艇は勝てる気がしなくて全然やらなくなりました(笑)
ライブベッティグがある
ブックメーカーの賭け方には、試合前に勝敗などを予想する事前ベットの他に、現在行われている試合に賭けるライブベッティングというシステムがあります。
ライブベッティングのオッズは、試合状況によってリアルタイムで変わっていくため、様々な戦略が可能です。

たとえば、格上チーム(選手)の事前オッズが低すぎてリスクとリターンが見合わないと思ったら、ライブベットでリードされるのを待ち、オッズが高くなったところでベットするのもいいでしょう。
または、格上チーム(選手)が予想通りリードして勝利がほぼ決定的な場面で、大きめの金額を賭けて確実に資金を増やすという戦略も取れます。
その他にも、ブックメーカーの予想外の試合展開になることはよくありますので、状況に合わせて美味しいオッズ(賭け方)を発見して稼ぐのもライブベッティングの魅力です。
ライブ映像が無料でみれる
海外サッカーやテニスのTV観戦が好きな人なら、DAZNやWOWOWなどの有料放送に加入している人も多いのではないでしょうか。
大手ブックメーカーの中には、海外スポーツの試合映像を無料で観れるサイトがあります。
たとえば、業界最大手のbet365では、スペイン、ドイツ、フランス、ドイツ、イタリア、イングランドはもちろん、欧州、南米、アジア、アフリカなど世界中のサッカーの試合をライブストリーミングで視聴できます。
また、バスケのNBA、テニスのATP・WTAツアー、その他のスポーツも毎日大量に放送されていますから、スポーツ観戦好きな人ならお金を賭けなくてもブックメーカーを存分に楽しめます。

また、ライブベッティングをする時にも試合映像があると、予想の精度を上げることが可能です。
それぞれの目的に合った使い方をしてください。
賭けの種類が豊富である
ブックメーカーの賭け方は、チームや選手の勝敗を予想するだけではありません。
サッカーだと、チームの合計得点、ハンディキャップ、コーナーキック・フリーキックの本数、前半・後半の勝敗、正しいスコアなど様々です。
大きな大会やカップ戦になると、1試合の賭け方が1000以上に及ぶこともあります。
テニスやバスケ、野球なども同様に賭けの種類が豊富です。
したがって、力の差があるチーム(選手)の対戦でも、ハンデや合計得点、得失点差などの高オッズの賭けを狙えば大きく稼ぐチャンスがあります。
また、ブックメーカーのオッズが甘い賭け方などを発見できれば、期待値をプラスにすることが可能です。

還元率が高い
還元率とは、賭け金がプレイヤーに払い戻される割合のことで、ギャンブルの勝ちやすさを見極めるためには還元率の高いゲームを選ぶことが重要です。
たとえば還元率が80%のギャンブルだと、1万円賭けて約8000円ほどが返ってくる計算になります。
ちなみに、後ほど紹介する日本の公営ギャンブルの還元率は高いもので約75%、もっとも低い宝くじは約50%弱です。
ブックメーカの場合、試合の大きさによって還元率が変わりますが、平均すると約92~95%です。

1万円賭けると9200~9500円が返ってくる計算になります。
単純に還元率だけを比較しても、スポーツベッティングの勝ちやすさが分かりますね。
スポーツ投資として注目されている
先ほど説明した還元率は、ランダムに賭けた場合の計算です。
株やFX、先物取引のような金融の世界と違い、スポーツベッッティングの世界は「好きなチームだけに応援ベットする。」「自分の国の選手(チーム)に賭ける。」といった、いわゆる「ゆるいお金」が大量に流れ込んでいます。
そのため、データで弾き出された適正なオッズから離れた期待値の高い賭けが発生しやすいのです。
サッカーやテニス、バスケ、野球などのメジャースポーツは、無料で利用できるデータサイトが豊富にありますから、ある程度スポーツに詳しい人やデータの研究などに時間を割くことができれば、安定してプラス収益を叩き出すことが可能です。
実際、海外にはブックメーカーで生計を立てている専業ベッターが多数存在しますし、日本人プレイヤーの中にもブックメーカーで稼ぐ人が増えています。

日本のスポーツベッティングは?

日本で最も有名なスポーツベッティングは、独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営しているスポーツくじ「toto」でしょう。totoは、「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」などで、賭博の違法性を失わせています。
totoでは、サッカーJリーグの13試合の結果を予測します。掛け金は1口100円からで、最高5億円が当たります。mini totoやBIGといった派生商品もあります。
toto賭博ができるのは20歳以上です。「くじ」はすべて販売店で対面で買わなければなりません。
最初にブックメーカーと日本のスポーツベッティグの違いについて軽く触れましたが、ここではもう少し詳しく解説します。
公営ギャンブル
公営ギャンブルとは、国や都道府県・市町村が管理主催するギャンブルのことをいいます。
現在、日本の公営ギャンブルには以下があります。
- 競馬
- 競輪
- 競艇
- オートレース
- スポーツ振興くじ(TOTO BIG)
- 宝くじ
これらのギャンブルとブックメーカーとの違いを解説します。
スポーツ振興くじ(TOTO BIG)
スポーツ振興くじはtoto(トト)とも呼ばれる、サッカーの賭けです。
指定されたJリーグ13試合の勝敗と引き分けを予想するtoto(トト)、5試合の勝敗と引き分けを予想するmini toto(ミニトト)、指定された試合の得点数を予想するtoto GOALなどがあります。
これらは、自分が賭けたい試合を自由に選べるブックメーカーと違い、予め指定された試合についてしか予想することができません。
賭け方についても、勝敗と得点数しかありませんから、ハンデをつけて高オッズを狙ったり、ライブベッティングで有利な状況のときにベットするといった戦略も取れないのが大きなデメリットです。
公営ギャンブルの控除率
勝てるギャンブルを選ぶ上で重要なことは「控除率の低いギャンブルを選択する」という点です。
控除率とは胴元の取り分のことで、これが低いほど「そのギャンブルは勝ちやすい」といえます。
日本の公営ギャンブルの控除率はこのようになっています。
ギャンブル名 | 控除率 | 管轄 |
宝くじ | 約53% | 総務省 |
競馬 | 約20~30% | 農林水産省 |
競輪 | 約25% | 経済産業省 |
競艇 | 約25% | 国土交通省 |
オートレース | 約30% | 経済産業省 |
スポーツ振興くじ | 約50% | 文部科学省 |
どんなに高くても10%以内のブックメーカーと比較すると、日本の公営ギャンブルがいかに控除率が高いか、勝ちにくいかが分かりますね。
これに加えて公営ギャンブルは、パリミチュエル方式を採用していますから、自分が購入した投票券がレース開始前に購入時よりも低くなるということが頻繁に起こります。
民間企業(ブックメーカー)が顧客獲得のために控除率を下げる努力をしているのに対して、公営ギャンブルは競争相手が参入してくることがありませんから、このようなぼったくりともいえる環境が成り立っているのです。
今後は、税収を増やすために控除率をさらに上げることも十分に考えられますから、公営ギャンブルで安定して稼ぐことは非常に難易度が高いといっていいでしょう。
公営ギャンブルで稼ぐのは、ほぼ不可能といいのでは?とすら感じます。
スポーツベッティングの市場規模は?

なんでも賭けの対象にしてしまうことで知られるイギリスでは、日本の大相撲の勝敗でスポーツベッティングをしているほどです。
アメリカでは、例えばラスベガスのホテルでスポーツベッティングを楽しむことができます。
ここでは、スポーツベッティングの市場規模について解説します。
スポーツベッティングの市場規模は330兆円
ブックメーカーの市場規模については調査会社によって違いがあるものの、インターポール(国際刑事警察機構)によると、合法・非合法を合わせると約330兆円と言われています。
日本のGDPが約500兆円ですから、その大きさが分かりますね。
今後はアメリカ全土でオンラインギャンブルが解禁されるといわれていますから、さらに規模は膨らんでいくと予想されています。
ちなみに、サッカーやバスケなど世界のスポーツ興行の総計が約23兆円ですから、約16倍。
すでにスポーツベッティングは、世界経済に影響を与えるほどのビジネスになっているのです。
英国においても、スポーツベッティングを始めとしたベッティング市場は成長を続けており、成熟した市場ながら2016年の16兆円から2019年には21兆円の1.3倍の成長を遂げ、5Gの技術進化とともに今後より一層の盛り上がりを見せることが予想されます。

急速な発展の大きな理由は、インターネットの発展です。
かつては、店頭や違法なノミ屋でしか購入できなかった投票券を、ネットから気軽に購入できるようになったことで、スポーツベッティング人口が急増しました。
もちろんブックメーカー各社が、ビッククラブのスポンサーとして積極的に広告宣伝を行ったり、様々なキャンペーン・プロモーションで新規顧客を獲得していった点も見逃せません。
スポーツベッティングにイカサマはないの?
スポーツベッティングで賭けの対象になっている試合には、多額のお金が動きます。
そのため、わざと試合に負けたり、得点を許したりといった八百長(イカサマ)が大きな問題となっています。
ここでは、スポーツベッティングと八百長問題に対するブックメーカーの対策などを解説します。
海外のスポーツ八百長の事件
まず、過去に明らかになった海外スポーツの八百長事件から、代表的なものを紹介します。
クリケット国際大会での八百長事件
2010年にイングランド地方で行われたクリケットの国際選手権で、パキスタン人選手の八百長が発覚しました。
ロンドン在住のスポーツ・エージェントがマフィアから15万ポンド(約1,800万円)を受け取り、その一部を選手に渡して故意に反則投球を行わせたのです。
金銭の受け渡しの盗撮画像がウェブサイトに掲載され、八百長に関わった選手とエージェントは有罪判決を受けました。
テニスの八百長問題
テニスは個人競技なので、故意に負けたりミスプレイをしても発覚しづらいため八百長が行われやすいと言われています。
過去に発覚した主な八百長事件を紹介します。
選手 | ヨセフ・ホッサム(エジプト) |
概要 | エジプトではトップクラスの選手で、下部大会での優勝経験もあり、ジュニア世界ランキングで最高8位になったこともある有望若手選手だった。 2015~2019年に、八百長試合に8回、スポーツ賭博に関わる違反行為に6回関与した。 他にも、他のプレイヤーにわざと負けるよう3回以上勧誘していた。 |
処分 | 生涯出場禁止処分 |
選手 | 三橋淳(日本) |
概要 | ジュニア時代に錦織圭選手とダブルスを組んで、国別対抗戦の世界大会に出場したこともある。 2015年11月に南アフリカで行われた下部組織のツアー大会で、他の選手にシングルス2,000ドル、ダブルス600ドルでわざと負けるよう八百長を働きかけた。 同年には、他にテニスの試合に関して76件の賭けを行っていた。 |
処分 | 永久資格停止と罰金5万ドル(約565万円) |
この他にも、男子の世界ランキング30位以内に入っていた135人以上の選手が、国際的な組織(マフィア)による八百長に関与していたという報道もあり、現在調査が進められているところです。
サッカーの八百長問題
ブックメーカーでもっとも人気の高いスポーツいえばサッカー。そのサッカーにも、八百長問題が付きまとっています。
リーグ・試合 | Kリーグ八百長事件 |
概要 | 2010~2011年にかけて韓国のスポーツくじ「スポーツtoto」で利益を得るために、暴力団関係者が八百長を依頼。関与した選手は、Kリーグ、FIFA(国際サッカー連盟)から永久追放処分を受けた。 |
リーグ・試合 | スペインリーグ八百長疑惑 |
概要 | 2019年、バリャドリード対バレンシアの試合で、ハーフタイムまで0-0、その後バレンシアが勝つように八百長が仕組まれた。 関与したと思われる関係者、選手など10人が逮捕された。 |
リーグ・試合 | ユヴェントスのカルチョ・スキャンダル |
概要 | 長くリーグ優勝から遠ざかっていたユベントスの経営幹部が、審判や他チーム(ACミラン、フィオレンティーナ、ラツィオ、レッジーナ)を買収し有利な判定を行うよう不正行為を行っていた。証拠不十分で逮捕は免れたものの、ユヴェントスが直近2年間で獲得したタイトルが全て剥奪され、セリエBに降格させられた。 |
もちろん、ほとんどの試合は正当に行われいますからご安心ください。
イカサマ防止の施策
ここでは、八百長防止の施策について解説します。
専門家による試合の監視
特に、サッカーやテニス、バスケのような競技においては試合の映像などを複数の専門家がチェックして、おかしなプレイがなかったか、わざとミスをしていないかなどをチェックしています。
また、八百長が発覚した場合にはライセンスの永久剥奪、永久追放を行うなどペナルティを厳格にすることによって、抑止しています。
不自然なベットを監視
八百長が疑われる試合では、通常でありえないベットが集中します。
関与している組織も、複数のブックメーカーにベットを分散させたり、打ち子のような人間を雇って巧妙にベットをしてきます。
そこでブックメーカー各社が連携を取り、疑わしいベットは受け付けなかったり、一度受け付けてもその後でベット取り消しなどの対応を取っています。
おかしなベットが集中すると、かなり高確率で感知できるようになっています。
スポーツベッティングは違法じゃないの?
スポーツベッティングは違法ではないのでしょうか?
日本でオンラインスポーツベッティングすることは、現在の日本の法律では、違法とも合法とも言えないグレーゾーンと言われています。

スポーツベッティングは合法化されるのか?
政府が推し進めている「統合型リゾート」(Integrated Resort、以下、IR)構想では、カジノ施設が設置されます。
そこではスポーツの勝敗で賭博をすることにネガティブなイメージを盛っている日本で「スポーツベッティング」は合法化されるのでしょうか?
日本のIRのカジノで行なわれる賭博は、ルーレットやトランプなどが想定されています。
スポーツベッティングは欧米では盛んに行われていて、人気の合法賭博の1つです。
なぜ、日本政府は、IRカジノからスポーツベッティングを排除したのでしょうか。
ルーレットやトランプがOKで、スポーツ賭博をNGにする根拠は何なのでしょうか。
IRカジノで行なわれる賭博とは
政府はまだ、IRカジノで「この賭博を行ってよい」といったことを決めていません(2020年現在)。
首相官邸内につくられた「特定複合観光施設区域整備推進本部」の事務局は2017年12月15日に、パブリックコメント(意見募集)に対する回答を公表し、そのなかで次のように述べています。
「カジノ事業において実施が認められる行為の具体的な範囲については(中略)今後の制度化を通じて検討する」
したがって、IR誘致に立候補している地方自治体も、実際にIRを建設することになるIR事業者も「うちのIRでは、この賭博をやる予定です」とはアナウンスしていません。
ただ、この状態では国民も立候補自治体の住民も、IR賭博をイメージできません。
そこで政府は、さまざまな資料のなかで「海外のIRではこのような賭博が行われている」といった形で、具体的な賭博を紹介しています。
例えば、首相官邸のホームページで公開されている資料「カジノ施設・機器の規制及びカジノ事業活動の規制について」では、次のような賭博を紹介しています。

この資料から、政府はルーレット、トランプ、サイコロ、スロットといったグッズを使った賭博をイメージしていると推測できます。
この資料ではさらに、米ネバダ州のIRでは1,011種類、シンガポールでは47種類の賭博が認められていることを伝えています。IR事業者は、さまざまな賭博を提案できそうです。
「それなのに」スポーツ賭博のスポーツベッティングは、日本IRから外されることになります。
参考資料:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/kokumintekigiron/bessi1.pdf
なぜ政府は、ルーレット賭博やトランプ賭博はIRに適していて、スポーツベッティングはIRに適していない、と判断したのでしょうか。
この議論はとても複雑です。
そもそも賭博は、日本では違法行為です。
ルーレット賭博もトランプ賭博も、原則、実施すれば罰せられます。
つまり、「ルーレットとトランプは合法だからIRで行なってよく、スポーツベッティングは違法だからIRで実施できない」というわけではないのです。
日本の賭博罪
刑法第185条は、賭博をした者に50万円以下の罰金または科料を科す、と定めています(*4)。一時的な娯楽として物を賭けるぐらいの行為は罰せられませんが、明らかに賭博の場合、1回でも参加したら罰せられ、悪質な場合は懲役刑が科されます(*5)。
IRで賭博を行うには、違法性を排除して、合法にしなければなりません。
刑法で違法であると定めた行為を、特殊な場合にのみ違法性を排除して合法とすることが、日本の法制度では可能なのです。
IRで賭博が合法化される
刑法第35条には、次のように書かれてあります。
<刑法第35条>
法令又は正当な業務による行為は、罰しない
この条文の意味は、例え刑法で「違法である」と定めた行為でもあっても、別に法律を定めてその行為を行うのであれば違法性をなくする(阻却する)ことができる、というものです。
そのため、「IRでカジノを建設して賭博を行う」ことを法律で定めれば、IRに限っては賭博の違法性が消えます。
IR推進法(正式名称、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)第2条には次のように書かれてあります。
<IR推進法第2条>
この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。
賭博をする場所としてのカジノ施設を容認しているので、IR(特定複合観光施設)で賭博ができるようになります。
日本版IRからスポーツベッティングが外された背景
なぜ、財源的にも魅力的なスポーツベッティングを政府は認めないと決めたのでしょうか?
政府は、IRで認可する賭博の条件を、次のように規定しています。
条件A:IR事業者がその公正な実施を確保することができる行為
条件B:カジノ施設内でのみ実施される行為
条件C:偶然の勝負に関し参加者が賭けを行う「賭博」に該当する行為
条件D:国民の信頼や理解を確保でき、社会通念上妥当と認められるもの
この4条件に合致する賭博のみ、IRで行なうことができます。
スポーツベッティングの賭けの対象になるのは、試合です。
したがって条件Aを満たしません。
スポーツの試合はカジノ施設の外で行なわれるので、条件Bにも合致しません。
そして、スポーツの勝敗は、選手たちのスキルにかかっているので、つまり、偶然で勝負が決まるわけではないので、条件Cも満たしません。
条件Dの解釈は難しいのですが、スポーツベッティングはこれもクリアできない可能性があります。
なぜなら囲碁、将棋は子供も楽しむことができる娯楽なので、これを賭けの対象にすることは社会通念上妥当とはいえないからです。
そのように考えると、スポーツもたくさんの子供が楽しむので、条件Dに反する可能性があるわけです。
スポーツベッティングが外されたことでカジノの魅力が低減
スポーツベッティングがないことは、日本のIRカジノの魅力を低減させるでしょう。
スポーツベッティングは、スポーツ観戦の楽しさと賭け事の興奮を同時に味わえる優れた娯楽イベントだからです。
また、パブリックビューイングやスポーツ・バーをみてもわかるように、集団でスポーツを観戦すると楽しさが倍増します。
さらに、第5世代移動通信システム(5G)を活用すれば、試合中継のエンターテイメント性を高めることができます。
それを豪華で快適なカジノ施設で放映すれば、スタジアムでの生観戦とは違った楽しみ方ができるかもしれません。
IRに慎重だったシンガポールはスポーツベッティングを禁じている
シンガポールには「マリーナベイサンズ」と「リゾートワールドセントーサ」という2つのIRがありますが、どちらのカジノでもスポーツベッティングは行なわれていません。
それは、IRから「カジノ色」を極力減らそうとしているからです。
シンガポールは元々、カジノ施設の設置に消極的でした。
1980年代と2000年代にカジノ開設の機運が高まりましたが、いずれも立ち消えになりました。
しかし、アジア各国の都市間競争が激しさを増すなかで、カジノを含むIRをつくって存在感を示そうと考え、2011年に2つのIR(2つのカジノ)がオープンしました。
それでも、シンガポール人の「賭博=悪徳」と考える倫理観は健在で、カジノを最小限にしようとしています。
IRでのスポーツベッティングを禁じているシンガポールには、こうした背景があります。
日本人の倫理観はシンガポールの人たちの倫理観に近い
スポーツベッティングは、IRの花形イベントになるポテンシャルを持っているといえます。それなのになぜ、スポーツベッティングが日本のIRから外されたのでしょうか。
IRにおける賭博は、娯楽と考えることも、必要悪と考えることもできます。
IRは高いレベルの観光施設になることを目指します。その観点からすると、スポーツベッティングを大々的に開催して、IRを盛り上げたいものです。
しかしIRには、地域振興を担う役割もあります。
地域の「健全な」発展を考えるなら、賭博の規模を必要最小限にしたほうがよいでしょう。
そのように考えると、スポーツを賭けの対象にするのは「もってのほか」となります。
シンガポールのIRが完成したとき、当時の地域開発青少年スポーツ省担当大臣が「今後もカジノを悪徳と位置づける」と述べました。
スポーツベッティングをIRから外した日本人の「賭博感」は、シンガポールの人たちの倫理観に近いのかもしれません。
コロナ禍におけるスポーツベッティングの役割
2020年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言下において多くのプロスポーツ公式戦が延期や中止となりました。
コロナウイルスが世界各国で猛威を振るっている中、スポーツ業界も前例のない経済的危機に立たされています。
スポーツ産業が壊滅的な状況
2020年の世界全体のスポーツ市場は、新型コロナウイルスの感染拡大によって半減し、当初見込まれていた13.5兆円から7.3兆円程度と言われています。
新型コロナウイルスに伴う試合の中止や延期などにより、日本のプロスポーツ界が失う経済的損失は約1,272億円にのぼることが関西大学の分析結果から明らかになっています。
さらには、スポーツ産業に関わる選手・関係者・観客の交通費、宿泊費、飲食費、土産代、グッズ代など金額を直接消費する「直接効果」、間接的消費の「一次波及効果」「二次波及効果」の合計である「経済波及効果(経済効果)」を計算したところ、マイナスの経済効果は約2,747億円にのぼると言われています。
日本のスポーツベッティングの市場規模は7兆円
日本では、政府が管理人する公営ギャンブル以外のスポーツに賭けることは違法ですから(賭博罪)、スポーツベッティングの正確な市場規模は分かりません。
そこで、各省庁により発表されている2019年の公営ギャンブルの売上を調べました。
ギャンブル | 2019年度売上 |
競馬(中央) | 約2兆8,818億円 |
競馬(地方) | 約7,010億円 |
競輪 | 約6,605億円 |
オートレース | 約739億円 |
競艇 | 約1兆5,342億円 |
宝くじ | 約8,046億円(2018年度) |
スポーツ振興くじ(toto) | 約938億円 |
すべて足すと約3兆円強となっており、一国の規模としてはかなり大きいといえます。
日本がギャンブル大国といわれるのも分かりますね。
日本で仮にスポーツベッティングが解禁したらどれくらいの市場規模になるのでしょうか?
サイバーエージェントが調査した結果では、日本のスポーツベッティングの市場規模は7兆円と推測されています。
日本のスポーツベッティング市場規模を7兆円と推計(
現在、日本国内でスポーツベッティングは解禁されていないものの、アメリカの一部州や、イギリス、イタリア、スペインなど様々な国でスポーツベッティングは認められており、スポーツ産業の収益源の一つとなっているほか、多くの人がスポーツへ関心を持つきっかけとなり、スポーツ振興に大きく貢献しております。今回、当社が推計した日本の市場規模においては、スポーツベッティングの実績をもつ主要国の実績から推計式を作成し、日本の人口及びGDP統計を当てはめることで推計いたしました。その結果、投票券の総売上額においては年間最大7兆円の市場規模となり、これは、国内ですでに親しまれている中央競馬の2019年実績売上の2倍以上の市場規模となります。今後スポーツベッティングが全面的に解禁された場合、選手や団体など、スポーツ産業の新たな収入源となる可能性が見込まれます。
サイバーエージェントより引用
日本のスポーツ産業の転換点
世界中のスポーツ団体・事業会社は、当該イベントの中止、延期、無観客での開催という選択を余儀なくされていることによって、観客によるチケット収入、物販収入、スポンサー収入が大きく影響を受け、これらの回復の見通しが立たない状態です。
特に、日本のスポーツ団体・事業会社は、他国のスポーツ団体・事業会社と収益構造が異なり、入場料とスポンサー収入が売上構成の70%を占めているため、これらの収益が望めない場合には、経営が成り立たない状況です。
北米や欧州のスポーツリーグは売上構成の50%以上が放映権料となっており、無観客の影響はあるものの、日本のような危機的な状態には至っていません。
むしろ、スポーツベッティングを通じた新たな収益を得ています。
こうしたグローバル動向に対して、日本のスポーツ産業はいかに向き合っているのでしょうか。
日本でスポーツベッティングが解禁された場合の市場規模は7兆円になりますので、仮に実現すれば、スポーツ産業の新たな収入源になることは間違いありません。
日本のスポーツ産業の在り方は今大きな転換点を迎えています。
アフターコロナで「試合観戦が売り物」という前提からの「スポーツベッティングを通じた新たな収益」への転換が行われるのか?
今後の動きに注目です。
スポーツベッティングのまとめ
ここまで、スポーツベッティングの魅力や市場規模、問題点などについて解説してきました。
インターネットやスマホの普及で、日本にいてもどこでもスポーツベッティングができるようになりました。
まだまだ、日本では法律の整備が追いついてないため、海外のように普及することはないけど、スポーツベッティング参加者が増えているのは事実です。